「エコラム」ーリリー・フランキー

特別お題「青春の一冊」 
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普通「青春」の後に続くサブタイトルと言えば、

〜仲間と切磋琢磨したあの頃〜

であったり

〜未熟だったわたしと彼〜

であろう。

ほう リア充!!がんばって行きまっしょい!な青春は 人生の華やかな宝物として、今後の彼らのキラキラした脳内とハートに 輝き続けるであろう。

大いに結構。

 

 

私の青春もキラキラしていた。

私の青春の後に続くサブタイトルは

 

青春〜ジタバタが人生だ〜

である。

ジタバタあがき続けた私を リリー・フランキーは、本を通じて肯定してくれた。

それだけで、大学時代は本当にたすかった。

 

女子校に6年間通った挙句、アメリカの大学に進学した。

世間知らずという事も、知らない。

脳にはぼんやりした夢しかなかった。

書くプロに、なりたい。

 

その一心でニューヨークの大学に 単身18歳でやってきた。

 

戦闘モードだ。

武器は紙ナイフほどの脆い英語力と、わたしが地球を変えるのよ。という勘違いな情熱のみ。

 

とりあえず文章なら、ジャーナリズムだな。

ほんでとりあえず新聞部に所属してたら、書けるし 人に読んでももらえる!

と思い、英字新聞も読めないくせに ジャーナリズムを学び、新聞部に飛び込んだ。

数年間、授業でも部活でもたくさん書いた。

 

ファッショントレンドや、各国のバレンタイン事情なんてゆう ゆる記事から

太平洋戦争における日米の哲学的な「正義」の差

なんていういわゆるバリバリなやつや

中国の情報規制の実態について、学生や雑誌社に中国まで取材しに行った。

勉強は、した。経験も積んだ。

しかし自信が出ない。

 

英語で、大して知識も無い私が何を書いた所で 誰かに影響を与えるとは思えなかった。

とにかく卒業までは、なーにも知らないことを隠すのに必死であった。

なんで日本の新聞もろくに読んだこと無い私が、アメリカでジャーナリズム学んでるねん。なんのコントやねん、おい!

と心の奥底で思いつつ、

異国でなめられたら終わり!いけいけどんどん!私最高!よっ未来のシェークスピア!と気持ちをハイにして奮闘していた。

 

課題を日々こなす生活で、友達を作り遊ぶ時間も無く、毎食ご飯も一人であった。

 

部屋に帰ると アメリカ人のルームメイトが居るので、部屋に帰るまでの夜道で泣き、部屋に入る前にトイレで顔を洗い、何も無かったように振る舞う事も度々あった。

なめられるのが怖かった。

 

そんな一方アメリカでジャーナリズムを学び、夏休みに日本に帰ってきた時は

気持ちはビートルズであった。

お前ら本当のロックを教えてやるよ!ロッケンロール!!

 

とここぞとばかりに大きく振る舞った。

痛々しかった。と当時を思い返せば思うが、

当時の私は視野が2センチくらいで、自分も他人も誰も見えていなかった。

 

そんな中、好きなアーティストがリリーフランキーさんのエッセイを薦めている記事を読んだ。

おでん君や、俳優としては認知していたが、リリーさんのエッセイは読んだことが無かったので、

本屋で10年以上前に書かれた彼のエッセイ「エコラム」を買って、夏の夜中にビールを飲みながら 読んだ。

 

感動した。

これまでで一番優しい、社会批評だと思った。

純粋に面白いんだが、考えさせられる。

エッセイの中には、数多くの社会生活不適合者が出てくる。

彼らは、彼らなりに 情熱を持ったり失ったりしている。生きることに正解も間違いも無い、というリリーさんの優しさがエッセイから飛び出し、私の胸に突き刺さった。

笑いの中に含まれる 優しさのお陰で、自信が無かった自分を肯定できるようになった。

 

米国に戻ると、能力のない自分を守るための緊張でガチガチになる事も多かったが、

お守りのようにリリー・フランキーのエッセイを持ち歩いた。

自信が無くて、失敗も多い自分を大いに肯定した。他人の事も肯定した。

とても楽に人と接することが出来るようになり、残りの大学生活は余裕を持って楽しめた。

2センチだった視野がぐんと広がって、多くの素敵な出会いにも恵まれ、よりキラキラした大学生活になった。

 

アメリカの大学生活での青春が終わり、

次は社会という大舞台での挑戦が始まる。

 

楽しいことも嬉しいことも あるだろう。

これまで以上に 辛いことも悲しいこともあるに決まっている。

 

壁にぶち当たった時に 

否定せずに優しい心で自分も他人も見つめる 

そんなリリーイズムを胸に焼き付けて

たくさんの出会いと喜びを たくさんの人と共有できるような 人間になれる様

引き続きジタバタ人生を謳歌したい。