クリープハイプな夜
2018年は出会った感動的なもの
すべてここに残しておこうと思います。
2/1 クリープハイプのライブ@フェスティバルホール
「百円の恋」という、人生を諦めているパラサイトシングルの女が、恋をして、人生ともう一度闘う、熱いボクシング映画がありまして。
その女が試合で負けて、ぐちゃぐちゃに悔し泣きをしながら、好きな男と2人で画面から消えて行く、そのラストシーンで流れていたのが
クリープハイプの「百八円の恋」。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
「居たい居たい居たい居たい」。
と絞り出すように叫ぶAメロ。
人間の恥ずかしくて熱い部分をむき出しにしたその映画のラストに、この叫びの歌が合わさることで、主人公の闘い抜いて掴んだ「普通の幸せ」がより輝く。
その美しさにクラっときてからというものの、クリープハイプの歌の面白さ、美しさ、切なさの虜になっておりまして。
クリープハイプのライブを見るのは去年の夏フェス以来。
フェスのクリープハイプの出番は夕方から夜に移る最も切ない時間帯で、
良い時間も、一日も、夏も、刻一刻と終わりに近づいているんだな、、
と感じさせる夕焼けに、彼らの演奏がぴったり重なって、すごくすごく美しかった。
今回はそれぶり、初めてのワンマンに行ってまいりました。
すっごく楽しみにしてて、上司には定時で帰ると一週間前から伝えてたけど、やはり残業してほしいと言われて。
できれば今日は帰らせてほしい、と伝えたら「バイトじゃないんだから。仕事より大事な用事ってなに。言ってみろ」と言われてしまい、
ああ、全く好きになれない仕事を生活のためにやっていくというのは辛い。
と思いながら、今日だけはお願いします、と頼みこみ、コソコソ文句を言われながら、嫌味っぽい「疲れ様でした」を背に駅に向かう。
そんな時に限って電車は人身事故で動かないし、タクシーも全く捕まらない。
まったく思い通りにいかないな、と悲しくなりながら会場に向かい、急いで席に着く。
照明が消えて、ボーカル尾崎世界観のギターソロでライブは幕を開ける。
楽しいはずなのになかなか楽しめなくて、
気づくと最初の曲が終わり尾崎さんが喋っている。
今回のツアータイトル
『今からすごく話をしよう、懐かしい曲も歌うから』らしく、彼の10年以上の下積み時代の話を交えながらライブは進む。
当時バイトで、頭を下げながら偉い人の机の下を掃除するのがすごく屈辱的で、「俺はこんなことをするために生きているんじゃない」と思いながらバンドで成功する夢を追いかけていたそう。
そんな長年の晴れない日々を歌ったのが
『バイトバイトバイト』。
私もこんなことをするために生きてるんじゃないよな、と思って最近モヤモヤしてたんだけど、尾崎さんが
「ここに集まってる人たちは、俺も含めて大した人間じゃないんだから 」
と現状を笑ってくれて、とても優しくて肩の荷がふわっと消えました。
クリープハイプの歌は全部切ないんだけど、
絶望を拭うユーモアと希望を孕む歌詞が
ヒトと関わることも、明日が来ることも楽しみにしてくれる。
どうせ放っておいても明日はくるし、
ヒトと関わらないで生きるなんて不可能だし、
生きるためには働かなきゃならない。
希望はしぼんだり膨らんだりする。
そんな毎日でも、イライラするよりキラキラしてたいから、催眠術をかけてくれる
クリープハイプにはこれからもお世話になります。
あっという間の2時間。
気付けば気分は晴れて、明日が楽しみになってました。
つらつら色々言いましたが
毎日絡まり合って、空回り合って、
やっぱり人って間抜けで面白いな
と思える秀逸な歌詞がしびれるクリープハイプを是非。