アップステイトニューヨークの話
夏が来ると思い出す、あの星と優しい空気に囲まれた ロマンティックな日々。
人が好きなので、都会はマイヘブンなんですが、
今回は初夏と言う事で、ニューヨークの田舎のお話。
高校を卒業して、ニューヨークとカナダの間のど田舎のカレッジに入学した。
英語でその場所を 「in the middle of nowhere」と言うほど何もない草原の中に大学はあり、その大草原の中の小さなキャンパスを思うと、今でも胸がキューッとなる、
それはそれは甘酸っぱい青春でした。
たくさん親友というか戦友もできたし、
毎日色んな授業で大好きなライティングを極めれる
すごく幸せな毎日だったんだけど、
4年制大学に編入できるかな。とか、将来はどうなるんだろう。とか
漠然とした不安が常にあったり、泣きながらすがっちゃう系の
恥ずかしい恋もしたり、毎日そわそわしながら過ごしていました。
そんな日々が流れ、大草原の小さな大学寮から抜け出して、シャバの空気を吸いたくなった私は、大学の近所の安いボロアパートに 友達と二人で住み始めました。
ルームメイトは10歳も年上の韓国人のお姉さんで、妹みたいに可愛がってくれた。
車が無かったから、買い物帰りはスーパーのガラガラをそのまま家まで押して帰ったり。
家具をダンボールとベッドシーツで作ったり。
秋の夕方 朽ちた教会が紫の空にひっそり佇んでるのを ぼーっと見て、なんとも言えない空虚感を感じたり。
雪が腰くらい積もった道を 半乾きの髪がツララのようになるまで必死でバス停まで走ったり。
いつも閉まってる廃れたアイスクリーム屋さんが あったかくなると再オープンし
ヨボヨボのおじいちゃんまで 行列に入ってアイスを求める愛おしい風景を見て 夏の趣を感じたり。
そんなこんなで冬が過ぎ、5月に大学が終わり、新学期までの長い夏休みが始まる。
夏休みの過ごし方を全く決めていなかった2年生の初夏。ハタチのサマー!
前の年に倒れて入院していた父の病態も気になるし、
その事で大阪にいる家族の形が変わりつつある事を地球の裏っかわでもビンビン感じつつあった私は、半分アメリカ、半分日本で夏休みを過ごすことにした。
ただ考える時間だけが無限にある田舎で私は親孝行を学んだ。ありがとう大自然。
その半分のアメリカの夏休みでお世話になったのが、大学の先輩の彼氏のファミリー。
先輩は日本に帰っており、彼氏さんも私もお互いに異性として全く意識していなかったため、普通に考えるとバカなのだが、同棲を始めた。
彼の部屋にベッドをふたつ並べて、夜な夜な語ったり、ファミリーガイという シュールなアニメや いろんな映画を見た。
言っておくが、究極のプラトニック!!!!
(一緒に寝たときに 友達なのに朝足が絡んでる事が嫌だと母に言うと、郷に入っては郷に従え!!と郷へ押し返された。スパルタ!!)
私の女性フェロモン不足のお陰で彼と親友になれて、
小学生みたいな夏を過ごせてとても楽しかった。
夜になると、彼と部屋で 星にまつわる歌のプレイリストを作って、屋根の上に登る。
ブランケットとお菓子と、スピーカーを持って
屋根の上で、夜な夜なロマンティック会を開いた。
ロマンティックな曲(Coldplay のYellowとか)を聴きながら、ムーディに星を眺める。
数秒に一回 ビュン!と流れる流星を飽きるほど見た。
この無限の流星を大阪の親にも見せれたらな〜と思って写真を撮ってもカメラには写らない。
いま思うと夢みたいな日々でした。
(そんな事を若い男女が夜な夜なしてると恋が始まりそうだが、当時ワタシは彼の事を犬くらいに思っていた)
夜焚き火を各家でして、色んな家を回る。
マシュマロを溶かして、チョコとそれをクラッカーで挟んだものをビールで流し込む。
パチパチと燃える木に耳をくすぐられながら 過ぎていく時間。
あれほどトムソーヤな夏はなかなか 20歳を超えると経験できない。
都会の皆さんがクラブとか行って、コンパとかして、ナンパとかしてる一方
ワタシは、毎日星を眺め、丘に登り、野草をほおばる現役カントリー娘でした。
その当時のワタシは、実は彼の弟の友達で3歳年下のレトロなドイツ系の男の子が好きで、弟くんと一緒にいると、その子に会えるのが幸せだったな〜。(したたか)
でも弟くんともそんなこんなで凄く仲良くなって、ふたりでよく夜中に高校のグラウンドに忍び込んで星を見たり、トランプゲームをしながらこっそりキスしたりしてたんだった。
青春すぎて、いますぐ広瀬すずで映画化して欲しいわ。
ある日弟くんに告白されたのに、どうしても恋人として好きになれなくて 軽くスルーしてたら凄く険悪な感じになってしまって、あんな仲良かったのに喧嘩別れみたいになっちゃった。(きゃあ!甘酸っぱい!)
さて長くなりましたが、わたしのアナザースカイ。
ニューヨークのとある田舎町でした。
以上。あざっした。